HOME>>ヒロシマの世界遺産>> その01 …… 平和記念公園[貞子の像](2009年8月2日)


 2009年8月2日、平和記念公園に出かけた。その日は、バス通り側から噴水を眺めながら貞子の像を目指すことにした。8月6日の式典に向けて、公園内はあわただしい。快晴というほどでもなく、やや弱い光が平和記念公園を覆っていた。観光客はまばらで静謐な空気に包まれていた。噴水を見上げながら、むしろこの空気がこの公園に似合っていると感じた。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/9 1/1250 ISO100

 
 この火は、1964(昭和39)年8月1日に点火されて以来ずっと燃え続けているという。歴史とはそういうものなのだろう。時を刻み時を証人にする。この火は、核兵器が存在しなくなれば消える。その日を願いつつ、貞子の像を目指した。 空はまだ不機嫌だった。私は他の景色に眼をくれないように努力し、ただただ貞子の像に向かって歩をすすめた。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 100mm f/4 1/1250 ISO100


 遠くに貞子の像が見えた。
 私は急いでシャッターを切った。
 貞子は運動神経が抜群で将来の夢は中学校の体育教師になることだったという。1945年8月6日、貞子が2歳のとき、原子爆弾が投下され被爆者になった。その後、貞子は特に不調を訴えることなく成長した。しかし1955年、突然白血病と診断され長くても1年の命だと診断された。

 

撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 62mm f/10 1/80 ISO320


 貞子は入院室で折り鶴を折った。来る日も来る日も折鶴を折った。それは願いであり生に帰還するための祈りでもあった。
 しかし、貞子の祈りは届かなかった。折り鶴を1000羽折ったにもかかわらず、1955年10月25日、亜急性リンパ性白血病で死亡した。食事として用意されたお茶漬けを二口食べて「あー、 おいしかった」と言って亡くなった。

 

撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/2.8 1/1000 ISO100
撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/2.8 1/1600 ISO100


 ようやく貞子の像にたどりついた。
 私は数枚の写真を撮った。

 ともかくも今、私たちはここで平和を満喫している。過去をないがしろにしてはいけないと思いつつ、ただ今の平和を満喫している。われわれの現在は過去に起因する。そして、われわれの現在は未来を創る。そのことを肝に銘じて、私は今ここに存在する。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/8 1/160 ISO100

  
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