HOME>>ヒロシマの世界遺産>> 宮島 (2009年11月12日)


 2009年11月12日、あと2時間余りで太陽が沈む頃、安芸の宮島に到着した。
 旧い港や駅でよく見かける赤茶けた鉄錆の色を私は妙に好む。この日もまず最初に赤茶けた鉄板の色が目に入った。そもそも秋の宮島は赤い。朱塗りの建造物、紅葉…、加えて夕刻が近い。なるべく赤い風景を撮ろうと考えながら、私は港に降り立った。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/9 1/1250 ISO100

 
 桟橋からほど近い石段を登ってしばらく進むと、真っ赤な葉を十分に残している桜の木の前で、ススキが群れを成して揺らいでいた。その穂先はたっぷりと西からの陽光を浴び、気持ちよさそうにゆらゆらとそよいでいた。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 100mm f/4 1/1250 ISO100


 寺社の大きな屋根のこちら側では、桜の葉が「どうか撮影してくれ」と言わんばかりの角度で私の目の前に枝を差し出していた。こういった風景を撮影するときはことさらシャッター音が心地よい。陽の光は徐々に赤みを増している。私は近くのベンチに腰を下ろして、今撮ったばかりの写真の出来を確認した。実をいうと、普段はあまりそういうことはしない。多分、目の前の景色があまりに美しかったから、そうしてしまったのだと思う。

 

撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 62mm f/10 1/80 ISO320


 この季節の宮島は赤い色にこと欠かない。
 どこもかしこも赤い。
 話はそれてしまうが、私は雨の日の宮島も好きだ。雨の日に何度もこの島へ渡った。アスファルト、建造物、樹木、社殿……、あらゆる色彩が濃度を増す。そして、重厚なこの島の景色はより重厚になる。

 

 


 宮島の山沿いには「山野辺の小径」と呼ばれる小径がある。その小径で見つける景色にはいつも何らかの発見がある。この日見つけたのは、路地にぶら下げられた小さな鉢植えだった。夕刻が近いせいだろうか、とても懐かしい気がした。


撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/8 1/160 ISO100

 

つづく
  
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