2009年9月20日15時49分、私は宮島の玄関口に立っていた。これからフェリーに乗って宮島へ渡る。とりあえず、この日は大鳥居を撮影する予定だ。大鳥居には斜光が似合う。そのためこの日も遅い時間をあえて選んだ…。いや実は、ただ単に早起きが苦手なだけのことである。ともあれ、この場所に立つといつも背筋がシャンとする。今日はいったいどんな景色を見せてくれるだろうか…、そう考えるといつも身体中がぞくぞくする。
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撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/9 1/1250 ISO100
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フェリーはいつもこの湖面のような海を進む。宮島は間近だ。空は青く、風は少し冷たい。何度、経験してもこころが落ち着く10分間である。この日は珍しくデッキの自動販売機で冷たい缶コーヒーを買って飲みほした。もう宮島の桟橋は近い。
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撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 100mm f/4 1/1250 ISO100
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遠くに朱塗りの大鳥居が見えはじめると、乗客はほぼ一様にカメラを構える。
フェリーはやがて左に旋回し、よりいっそう大鳥居に近づく。私にとっては皆がシャッターを押すその姿は見慣れた光景なのだが、いとおしくもあり誇らしくもある。それはおそらく地元愛というものなのだろう。
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撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 62mm f/10 1/80 ISO320
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桟橋に降りた私は、少し遠回りをしてこの島の鄙びた風景をカメラにおさめつつ、大鳥居に向かうことにした。海端の錆びたレール、紅葉の葉をあしらった道路、かつての写真館、地元の商店。大鳥居が西日にたっぷり染まるには、まだ少々時間がある。いつもよりずっと遅い歩調で、私はこの世界遺産の町の空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
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撮影機種:OLYMPUS E-3 ZUIKO DIGITAL 28mm f/8 1/160 ISO100 |
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つづく
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