HOME>>記憶の中の旅の記>> その05 …… 大崎下島[御手洗] (2009年04月18日)


 呉線のJR広駅からバスに乗ってこの場所を訪ねた。以前からぜひ訪れたかった場所である。友人と二人で訪ねたのだが、彼は記録メディアを忘れてきたため、撮影という意味では一人旅となった。
 ともかく淡い。景色も空気も風も…、何もかもが淡い。鳥居の向こうに橋が二つ見える。つまり、これが昨今の景色である。島へは船で渡る、そういった個人的先入観が消えつつある。そういえばバスでこの島に来たのだ……。


撮影機種:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 28mm f/8 1/80 ISO100 絞り優先AE

 

 景色はすべて美しい。カメラをどこへ向けて何を撮っても美しいと感じた。道端の甘夏もしかり、海端のバス停もしかり、何もかもが普段、決して目にすることのない風景だった。ともかく私はシャッターを切りつづけた。

撮影機種:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 64mm f/22 1/60 ISO500 絞り優先AE

 
 私と友人は歩をすすめる毎に、景色への感嘆を口にし、この島に来たことを互いによろこんだ。潮風は心地よく、何よりも日差しがほど良かったことを今でも鮮明に記憶している。
 海辺の通りにある何の変哲もない家屋さえ、私のこころを揺さぶった。

撮影機種:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 28mm f/5 1/80 ISO125 絞り優先AE


 江戸時代以降、御手洗は潮待ち、風待ちの港町として賑わったという。何より私には1863年(文久3年)の八月十八日の政変で失脚して、京都を追放された七卿のうちの五卿が長州藩にに逃れる際、この島に立ち寄った事実が面白い。現在でもそのとき五卿が立ち寄った場所が、七卿落遺跡として広島県指定の史跡になっている。

 

撮影機種:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 82mm f/5 1/160 ISO100 絞り優先AE


  しばらく歩くと、昭和の生活を模した展示施設があった。かき氷をつくる機械、その向こうにちゃぶ台と蠅帳があり、足踏みミシンがある。久しぶりに眺めた光景に涙腺がゆるみそうになったが、こらえることができた。


撮影機種:OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 46mm f/3 1/60 ISO400 絞り優先AE


つづく

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