HOME>> 記憶の中の旅の記 >> 酒都西條[冬の日](2008年01月21日)


 今は「西条」と表記されることが多いが、もともとは「酒都西條」である。それをこのトラックが証明してくれている。このあたりは、かつて最も栄えていたが今は少しもの寂しい。私の友人も少なからず住んでいる。とても懐かしい景色だった。
 私は踵を返して西条駅周辺に向かった。


撮影機種:OLYMPUS OM-1 G.ZUIKO 50mm f/2.8 1/250 ISO100


 もし、雪が降っていなければ、このとき私はこの場所にいなかっただろう。雪が降ったおかげで私は中学時代の記憶をたどることができた。基本的に出不精な私である。自宅の庭に雪が積もっているのを見たとき、
「これは、西條は大雪だろうが、ま、寒いし…」
と、考えたとしたらこの旅はなかっただろう。
 しかし、めずらしく能動的だったおかげでこの金網に再び出会うことができた。この金網の横を何度歩いただろう。あの頃のままだ・・・。少しうれしくなってその先の歩道橋に向かった。

 

撮影機種:OLYMPUS OM-1 G.ZUIKO 50mm f/2.8 1/1000 ISO100


 歩道橋もまた、あの頃のままだった。
 今にして思えば、中学時代の思い出は他のどの時代の思い出よりも鮮明である。
 ここで中学時代を過ごした後、高校、大学を経て社会人になり家庭を持った。しかし、あきらかにどの時代より記憶に残っている。
「何故だろう」
 私は自問した。

 

撮影機種:OLYMPUS OM-1 G.ZUIKO 50mm f/2.8 1/1000 ISO100


 この道は、駅前のレコード店でレコードを買った帰りに、必ず歩いた道である。
 当然のようにレコード店はなかったが、この道は何も変わっていなかった。
 考えてみれば、私が初めて自分でレコードを買ったのも、ギターを買ったのも、ビートルズを聴いたのも中学生の頃である。そう考えるとこの町がことさら懐かしい理由がはっきりとわかったような気がした。

 

撮影機種:OLYMPUS OM-1 G.ZUIKO 50mm f/2.8 1/1000 ISO100


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